映画 上海の女 (1952)

南京政府の高官の娘莉莉(李香蘭)は長崎生まれの日本人孤児だが、中国人として育てられ今では歌姫として有名である。特務機関の真鍋中尉(三國連太郎)は上海で任務に当たっていたが、ある日ナイトクラブで彼女を見かけ親しくなる。当時の上海は重慶政府の工作員南京政府の要人を暗殺するなど治安が乱れており、真鍋中尉はこのために送られて来たのであった。街では日本人憲兵が幅を利かせていたが中尉の方が偉いのである。この為莉莉に便宜を図ったり助ける事がしばしばあった。 任務に当たりながら逢瀬を重ねるうちに二人は愛し合うようになるが、とうとう破局が訪れる。南京政府側と重慶工作員とで銃撃戦となり、重慶側に協力していた莉莉は逮捕されるのである。助命の嘆願も叶わず莉莉は銃殺される。思わず駆け寄った真鍋中尉も撃たれて死んだのである。

観客としてはやや残念な結末だったが、今や日本の軍部は消滅し平和が訪れているので、内容を検閲される事もないし、大人も楽しめる娯楽映画として上々の出来だと思う。