脱走した囚人(ケビン・コスナー)が少年を人質に取り車で逃走するロードムービーだ。風景は美しいし悲壮感は無い。州警察の署長(クリント・イーストウッド)が司令オフィス付きの特注車で犯人を追う。脱走犯は銃で囚人仲間を殺してしまうが概ね平和に逃走劇が続く。囚人の方が宗教ガチガチの一般人よりリベラルな設定になっている。追う方の署長も途中でTボーンステーキとポテトを食べたりしてのんびりとしたものである。
少年は父親がいない家庭に育っており母親から厳しくされていた。そのせいか知的で親切な脱走犯にだんだん懐いてゆく。彼らはゆるい捜査網をかいくぐりながら地元民に助けられたり交流もする。黒人家庭では暴力を振るう父に説教もする。これでアラスカまでたどり着けるのか。身バレした脱走犯は黒人一家を処刑しようとする。これは見せかけだけなのか。だがついに少年が銃を拾って脱走犯を撃って逃げる。腹を撃たれた脱走犯は少年に自分の潔白を言いに行く。少年は木から降りて介抱するが警察がいよいよ彼らを包囲する。最後の交渉で脱走犯は少年の夢を叶えることを条件に少年を解放する。少年は一度は母親の方へ向かうがすぐに脱走犯の元へ走る。
変わったテイストの犯罪ドラマだが実存モードの脱走犯と署長、日常モードで動く周囲、その間を揺れ動く少年という構図がある。