東洋文庫 中国革命の階級対立 1 (1930)

著者の鈴江言一は軍閥についてこのように述べている。

軍閥の特質は、第一に、彼等が特に劣悪な素質の私兵を擁し、一定の勢力範囲を画定し、土地と住民に対する絶対的専制権を保持し、この専制政治のもとに、自由に課税ーー封建的軍事賦課の性質をもつーーし、農民の経済外の搾取をほしいままにし、中華共和国における「封建的搾取関係」を擁護していることである。》

軍閥間の戦争についてはこうである。

《或る者は、蒋介石ブルジョアジーの代表とし、広西派を地主の代表と分析した。しかし、それは、以上の観点からいってまさしく錯誤である。この場合 ただわれわれは、一方の軍閥(例えば蒋派)が比較的多分にブルジョアジーの勢力を代表し、他方の軍閥(例えば広西派)に比較的地主勢力が多分に含まれている、といいうるにすぎない。 したがって、軍閥戦争がいかに反復されても、中国のブルジョアジーがそれによって封建地主に完全に克つこともできないし、同様にその反対の事実も起こりえない。》

帝国主義列強と軍閥の関係について述べている。

帝国主義は、「中国の統一を衷心希望する」との誠意から南北妥協を勧告し、ワシントン会議を開き、関税会議に集まった。(略)しかし、帝国主義の利益と中国の和平統一とは根本において一致しないはずである。いったい、北方に強固な勢力範囲を設定し、このうえに自己の存亡を依拠せしめている日本が、果して中国の和平統一と発展を衷心こいねがいうるであろうか。

華南および長江一帯を勢力地帯とし、中国および中国人の搾取とインドの防衛に任じているイギリスが、果たして中国の強固な中国政府の建設と独立国家としての新発展を衷心希望しうるであろうか。

また、アメリカが門戸開放と世界和平の年来の主張をもって南京政府を支持する事情から、「英・日の伝統的地盤を切り崩し、中国全国をアメリカ・カピタルとそのもて余した過剰商品との市場たらしめ、中国の全経済組織に対するアメリカ・カピタリズムの支配権を獲得しよう」とする意図を控除した場合、果たしてそこにいかなる正義人道と国際友誼が残っているだろうか。》

土匪討伐について述べている。

《土匪討伐の軍隊は、多くの場合武器弾薬の供給者である。彼等は、危険にしてなんの利益をも伴わない討伐よりも、土匪と取引することを選ぶ。

「交戦を形式化した適当時期の礼砲交換の後、取引が行われる。時には附近の農民を身替りにに当てた戦死土匪が引き渡される。かくして土匪は駐屯地方を軍隊に譲って次の地方に移転する。軍隊は、すでに土匪によって充分荒らされた該地方から、土匪掃討の謝礼として駐軍費を徴収し、必要によっては婦人と現銀による歓迎を強要する。最後に、勇敢な軍隊の討伐経過と地方人民安堵感謝が報告される。」

以上は討伐軍隊と土匪の取引の「定石」である。》

まだまだ序盤に過ぎないが本書はとても面白い。まだ読んでいないが、おそらく本書はこのように共和国で起こっていることを分析した上で、プロレタリア革命へと進む必然的なコースを予言するのではないだろうか。