映画 ショーほど素敵な商売はない (1954)

映画コレクションのうちで観ていないものを慌てず落ち着いて観ている。先を急いでいる若い時は時間を費やすのが躊躇われるということがあるのだ。だがこうして取りこぼしていたものに名作がある。

本作は有名な楽曲をいくつか含むが、要するにボードビリアンショーで成功した一家の物語である。一家は五人家族で子供が成長するにつれ悲喜こもごもの場面が生じてくる。特に次男の失踪では切ない思いがした。マリリン・モンローが登場して兄妹とともにブロードウェーデビューを目指すという展開がある。マリリン・モンローのハスキーでスローな歌唱はナイトクラブ向きのようである。

取り壊される劇場で最期のレビューが行われる時、思いがけず五人が揃い名曲『アレキサンダーズ・ラグタイム・バンド』を熱演する。ハッピーエンドだったが、このあと従軍牧師として戦地に向かう長男のことや、次男の将来などがどうも先行きに暗い影を落としているのである。