映画 ポゼッション (1980)

ドイツの街を舞台に英語で会話が行われる劇映画である。最初は冷えた夫婦関係がテーマの人生ドラマかと思いつつ見ていると、美人妻の言動がいささか常軌を逸しているように思われる。多重人格なのかなと思って見ていると、単なる三角関係ではなく、エイリアンのような奇怪な生命体が出てきて関係者が次々と死んでゆくのである。だが死んだかどうかもよくわからない。これを材料にして、主人公のレプリカが出来たという珍妙な結末が終盤に現れるからである。

ポゼッションというタイトルは何かに取り憑かれたという意味合いがあるので、美人妻がエイリアンに取り憑かれたという話なのだろう。だがこの映画に出てくるエイリアンは人類に対する脅威という風には描かれていない。映画評を見るとよくわからなかったという感想が大半だが、僕としてはこれは昔のドイツで起こった悲劇を幻想のようなかたちで表現したものだと考えるとなんとなく合致するような気もするのである。