映画 バベットの晩餐会 (1987)

    19世紀のデンマークの辺境ユトランドに敬虔な牧師と二人の姉妹がつましく暮らしていた。美人だった姉妹にたまたまやって来た士官のローレンスとフランス人歌手のパパンがそれぞれ求婚するが牧師はそれを拒否する。傷心の男たちは人生に絶望して帰って行った。  
 
    時は流れて老女になった姉妹マーチーネとフィリパの元に戦乱のパリから逃れて来たバベットという中年の女がパパンの紹介状を持ってやってくる。バベットは無給の家政婦として置いてくれと言う。同情した姉妹はとりあえずバベットを雇う事にする。15年経ったある日バベットに1万フランの宝くじが当たる。その年は亡き牧師の生誕100周年に当たる年だった。姉妹が企画した100周年を祝う晩餐会にバベットが自分の負担で料理を作らせてくれと言う。 

    バベットは自ら食材を調達し当日はフルコースの料理と最高のシャンパンとワインを参加者に振る舞った。客の一人には将軍に出世したが傷心を抱いたままのローレンスがいた。ついに元カフェ・アングレの料理長だったバベットの驚くべき才能と手腕が炸裂するのだが不発に終わっていた可能性もある。マーチーネと信者らが料理の味のことは無視するよう申し合わせていたからだ。だがパリのグルメに詳しい将軍が来たことで失望の事態からピンポイントで救われたのである。

    映像としても優れているしストーリーもいいと思った。ちょうどバルザックの映画従妹ベットの味わいに似ている。料理の実際の映像が見れて、歌われている讃美歌が聴けたのはなかなか素晴らしかった。