東洋文庫 大旅行記2 イブン・バットゥータ (1355)

1326年9月1日ヒジャーズ巡礼キャラバン隊がダマスカスを出発しキスワという村に停泊する。著者はこのキャラバン隊と同行する。キャラバン隊長はサイフ・ウッディーン・アルジューバーンで法官はシャラフ・ウッディーン・アルアズルーイである。次にサナマインという村を過ぎズルアという町の近くで野営する。次にブスラーという町で商人と取引するために四泊する。ズィーザ池、水場のあるラッジューンを経てカラスク城に至る。この近くで4日間滞在し砂漠に踏み入る準備をする。マアーン、サワーン渓谷を通過し砂漠に入る。二日の行程でザート・ハッジュに宿泊する。ここには無人の湧水がある。ワーディー・バルダフ、タブークへと進む。タブークはムハンマドが軍事攻撃を行った場所である。ここには泉地があり四日間留まる。一般の人はここで水運搬人から水タンクを買う。いよいよ大きな砂漠に入る。大急ぎで進み池のあるアルムアッザイムに停泊する。この池は枯れていることもある。ビル・アルヒジュルに到着するがここでは水を汲まずにウラーという大きな村に四日間宿泊する。ここで充分準備をしてまた危険な砂漠に入る。アターブという毒風が吹くことがある場所で野営する。ハディーヤで野営し翌日にはメディナの郊外に到着する。その日の夕方モスクに入った。拝礼し聖庭、噴水池を見る。

メディナを出発し5マイルのところで野営する。清浄な白衣に着替えて又出発する。山や谷を越えてシュブ・アリー、ラウハーゥで野営する。城塞のあるサフラーゥで野営する。バドルで野営する。ここは多神教の戦士を絶滅させたところである。バドルを出ると砂漠地帯に入り三昼夜進むとラービグのワーディー(涸れ川)に入る。また三昼夜すすむとフライスに着く。アカバ・アッサウィークという砂礫地を通りビルカ・フライスで野営する。そこは盆地でナツメ椰子が多く泉と要塞もある。ここにはアラブ遊牧民が集まり羊、果実、薬味の市場が開かれる。隘路を通りウスファーンという山間部の盆地に到着する。その後バトン・マッル(マッルの谷間)で野営し夕方出発すると明け方にはメッカに到着したのである。