アレクサンドロス大王東征記 アッリアノス著 (紀元2世紀)(3)

第5巻のまとめ

アレクサンドロス大王の軍勢はカブール川を渡りインダス川の手前のニュサの町に入った。この町は今のカフィリスタンだという説がある。確かにここに住むカラーシャ族は今も独自の神を信仰しギリシャ的風貌を持っている。さて町に入るとアクピスというものが三十人の使者と共に大王の前に現れてこの町を破壊しないよう懇願する。何故ならばこの町はデュオニソスがインド人を征服して建てた町だからである。大王はこの町を安堵する事に同意した。

大王は軍を率いてインダス川を渡る。この時には同盟を結んでいたタクレシスより騎兵700、象30、牛3000、羊1万が贈られていた。大王はタクレシスが支配するタクシラという大きな町に入り準備を整える。ヒュダスペス川の対岸にはポロスが軍勢を集めて待ち構えているのだ。これに対し大王は持久戦と見せかけたのち奇襲作戦を実行する。この時の大王の軍の構成が記述されている。

彼はヘタイロイからなる騎兵親衛隊とヘパイスティオン、ペルディッカス、デメトリウスが指揮する各騎兵隊、バクトリア人、ソグディアナ人およびスキュタイ人から編成された騎兵隊にダアイ人の騎馬弓兵隊、また密集歩兵隊からは近衛歩兵部隊とクレイトス、コイノスの指揮する二隊、さらに弓兵隊とアグリアネス人部隊を選抜すると渡河決行の出発地点として予定した川岸の突出部へと密かに軍を進めた。結局大王は勝利しポロスは屈服する。