フォークナー 八月の光 (9)

捜査を担当する保安官は偏見に満ちた無能な保安官というわけでもなく、そこそこ有能なようである。近郊にある黒人教会に現れたクリスマスを、犬を使って追いかける。だが靴を農民と交換していたクリスマスはまんまと追っ手を巻き逃亡生活の後、ゆうゆうとモッタウンの町に現れたのである。事件の噂を知る住民は騒然となり、保安官によりクリスマスは留置場に入れられる。

モッタウンの外れに住む謎の老夫婦の事が語られる。この老夫婦がクリスマスが護送されたジェファスンに現れて、ハイタワー牧師の前で告解するのである。この老夫婦の孫がクリスマスということになる。サーカス一座のメキシコ人と娘の間にできた子がクリスマスで、これでストーリーが全部繋がった。

さてこのあとどうなるのか、偏見と因習に満ちた南部ならではの結末が待っているのか、それとも作者の匙加減でいくばくかの変化が加えられるのか、結末はこれから読む人の為に伏せておきます。