映画 ソフィアの夜明け (2008)

 『ブルガリア17歳になりました』というドキュメンタリーと錯覚するような作りだが、実際は綿密な計算の元に俳優が演じている。

 首都ソフィアに住むゲオルギは17歳の高校生だが、タバコを吸い、タトゥーを入れてネオナチグループとつるむようになる。兄のイツォは美術学校出の木工職人で、麻薬中毒の治療を受けながら自分の作品を作り続けている。友人と再会し共同で個展を開く話が持ち上がったところである。

 ある日、夜の街でネオナチグループがトルコ人観光客の3人を襲撃し血まみれにする。そこにはゲオルギがのこのこと加わっている。通りがかったイツォが観光客を助けようとしてやはり血まみれになるが、運よく車の盗難防止用の警報が鳴り4人は病院に運ばれ、なんとか事無きを得た。

 以降の話は省略するが、全体像を掴むまで何が何だかわからない感じが芸術映画のセオリー通りであり、音楽も良いし、この映画はよくできていると思う。『ソフィアの夜明け』という邦題はそのまんま過ぎて酷いと思うが、まあこれは関係者の判断によるものだろう。