山本医師のその後について知りたいと思う人は多いと思うが、本編はそのものズバリの密着型ドキュメンタリーである。前半では患者との別れ、送別会、後半では妻とのプライベートがフィルムに収められた。華道の先生が登場して知られざる妻の過去について語ってくれる。やはり家庭を省みない医師人生のせいで壮絶な経験があったのだ。何事も全部調べれば美談では済まないものだ。世にある美談は全部切り取りと捏造であると言える。この映画はそこのところをちょうどいい具合に配合した節度のある作品である。
精神0というのは山本医師が患者にアドバイスするときの言い回しから取った監督による造語である。