本書は幕末三大宗教の一つ黒住教の教書で歌集と文集よりなる。教祖の黒住宗忠は備前国の神職の生まれで、「自ら神のような人間になり広く人々を救う」という大望を抱き修行を開始し「日々家内心得の事」をまとめ、信者の規範とした。その全文を紹介する。
日々家内心得の事
一 神国の人に生まれ常に信心なき事
一 腹を立て物を苦にする事
一 己がまんしんにて人を見下す事
一 人の悪を見て己に悪心を増す事
一 無病の時家業おこたりの事
一 誠のみちに入りながら心に誠なき事
一 日々有難き事を取り外す事
右の条々常に忘るべからず 恐るべし 恐るべし
立ち向かう人の心は鏡なり おのが姿を移してやみん
黒住左京藤原忠宗六七歳書
*******************************
歌集より一首紹介する。
世の花は散るとも千代も尽きすまし
君かまことの花の心は
*******************************
文集は江戸在勤の藩士に送った手紙などでいささか堅苦しい文言が並んでいる。あたかも庭訓往来で学んだような定型文だ。長くなるので省略。