映画 祭りの準備 (1975)

ATG映画の中では一般にも好評だった作品である。高知県の小さな町で幼少時から育ち青年になった楯男は信用金庫に勤めながらシナリオライターを目指していた。母親と祖父との三人暮らしである。映像にはお遍路さん、肉体労働をする大勢の主婦、うたごえ運動、売春防止法直後の風俗が描かれており、庶民の生活は性的にあけすけであり、楯男には刺激が強すぎるという側面もあった。

ヒロインの涼子は儚くも美しい憧れの少女だが、東京から来た左翼のインテリに体を許してしまうのだった。一方楯男の方はヒロポン中毒のせいで狂人となって帰ってきたタマミと一回だけ関係を持つが、タマミは祖父の子供を身ごもり、無事出産し正気に戻ったのである。タマミはこの子が楯男の子だとうすうす感づいている。

信用金庫で不祥事を起こした楯男は、これを機会にいつも干渉してくる母親を置いて東京に旅立つのだった。監督が素晴らしいのかこの映画はどうみても傑作である。シチリアシチリアを先取りしたような作品になっている。なお実話では楯男はこの後有名な大シナリオ作家になるのである。作家の名前は中島丈博である。