映画 幸せの行方 (2010)

これはまたユニークな映画があらわれた。ふつうのスリラーサスペンス映画と思って観ていると、そうでは無い。実在の事件の真相を映画で再現しており、さらに失踪のトリックが刑事コロンボで使われたものと同じという。

何故?という問いにもある程度答えているので、動機、犯行手順、検事の買収など全てが丸見えではあるが、決定的核心部分は暗示に留めてある。だがよく考えてみると似ているのはアウトラインだけで、エピソードなどは創作なのかもしれない。そうでもしないと訴訟されるおそれがある。

実話では不動産王の御曹司(容疑者である)は正当防衛が認められ裁判で無罪となるが、事件が起こったのが1982年、裁判が2000年、映画化が2010年、本人が自白したのが2015年という時系列になっている。自白といっても放送事故のようなもので幕切れも劇的だった。黒に限りなく近いグレーでも刑事裁判で無罪になるというのは、O.J.シンプソンの例でもあるし、米国の司法はやっぱり腐敗しているのだろう。