実行犯は勝の兄、実の元妻、きよかの夫、敦の姉ということになる。敦以外は出家にまつわるいざこざが寸劇として描かれているので事情は明白だ。問題は敦である。どうやら姉は教祖の娘であり、弟の敦は教団から距離を置いていたようだ。それは敦の実家に飾られていたユリなどから推測できるようになっている。
それ以外にも謎があって一応考えてみたが情報が不足なのか解読できなかった。役者について言うとみんな淡々と役を演じているなか寺島進と夏川結衣の熱演が目立った。湖畔の回想シーンではエコーたっぷりの鳥の鳴き声がオーバーダビングされていて少々耳障りだった。映画論で言うとセリフをなぞった映像が出ている。青年がテロ事件の計画を恐れて敦の姉に一緒に逃げようと言うが断られる。つまり青年は一人で逃げるという未来が見えるのだがそれがまんま映像化されていた。