映画 あるいは裏切りという名の犬 (2004)

フランス警察と強盗団との死闘および警察組織内での出世をめぐる醜い争いを描いた物語である。実話を元にしている様だ。

最近まで戦争をやっていてマルセイユの様な無法地帯もあるフランスの強盗団は機関銃の使用はあたりまえで警備員を殺しながら現金を強奪していた。パリ警視庁の二つの組織BRIとBRBが強盗団を捕まえようとしのぎを削るなか作戦実行中にBRBの主任であるクランが強盗団に近づいて行き発砲するが反撃され作戦実行中の刑事が死傷する。責任を問われそうになったクランは部下に口裏を合わせさせBRI主任のヴリンクスを違法捜査のかどで逮捕する。その上クランはヴリンクス収監中に件の情報屋と接触したクランの妻を事故のどさくさにまぎれて射殺する。

結局クランは警視庁長官に出世しヴリンクスは出所するが行くあてもなくさまよっていた。昔の知人女性の所に転がり込んだヴリンクスは拳銃を調達するとパーティ会場に潜入しクランが一人になったところを襲い銃を突きつける。だがヴリンクスはクランを殺さず銃を置いて帰って行った。さてはヴリンクスはクランに自分を殺させて復讐するのかとここで思うのだが、銃を持ってヴリンクスを追いかけたクランは道に出た途端バイクの二人組に頭を撃ち抜かれて死亡する。どうもバイクの二人組は勘違いをしており正義が勝ったとも言えないような結末である。

フランス人らしい人情味はあるがクールな物語の印象がある。アメリカ人のような物質主義一辺倒でもなく日本人のような偽善としがらみだらけの物語とはやはり一味違っている。正義とか真実追求をわりと重要視している国民性が感じられる。