映画 マンデラ 自由への長い道 (2013)

 白人が作ったマンデラ賛美の映画であり、概念だけで作ったような不思議な作品だ。決してこれをドキュメンタリーと思ってはならない。

 ケープタウンで弁護士事務所を開いて活躍しているマンデラは、元は村の首長の息子だったが今ではまるでニューヨークのセレブのような生活をしている。ジムで体を鍛え、高級車に乗り、夜は女性とデートする。ある日黒人の権利を主張するデモに加わったマンデラは、活動家としての人生を始めることになる。

 映画では彼の私生活、逮捕、裁判、投獄の様子が描かれ、過酷な人生を観客に見せてくれる。司法の運営などを見ると、南アは優秀な白人が社会の秩序を守り、国を運営していたのが良くわかる。

 逮捕されたマンデラは27年間の囚人生活を送る事になる。ある日、もう老人になっていたマンデラと少年が会話する。少年はかつてのマンデラのようであり、彼の話では武力闘争が激しい弾圧を生んでおり多くの黒人が殺されているという。

 やがてマンデラを待望する風が世界で吹き始め、南アの首脳らはマンデラと手を組み事態を収拾する方策を模索し始めるのである。ここからまだまだ一筋縄では行かない状況だが、かなり曖昧な描かれ方でエンディングに向かう。その辺をよりリアルに描いてあるのが次に見るエンドゲーム ~アパルトヘイト撤廃への攻防~(2009)という映画である。