ドラマ イラク人質の妻たち (1991)

1990年のイラクによるクウェート侵攻は日本人にとっては寝耳に水だったに違いない。日本大使館に集合し待機していたクウェート在住の日本人家族245人がイラクに連行され、人間の盾として各地に分散収容される。だが婦人と子供、病人は日本への帰国が許される。このドラマはこの婦女子たちが成田に到着するところから始まる。ドラマのタイトルにもあるように、婦人たちの目線で事件が描かれており、だいたいが井戸端会議的なセリフだが、嫁姑問題、社宅の生活などが出てくる。

 婦人の一人が夫の解放を目指す会を組織して運動を開始し、国会議員に働きかけるが実際に行動してくれたのはアントニオ猪木議員だけだったという。外務省とその意向を汲んだ会社は、家族たちにイラクには行くなとしか言わなかったという。政府による目立った動きのない中、アントニオ猪木議員はイラクに乗り込み、スポーツの祭典を興行し、フセインの息子と面会する。試みはほぼ失敗だったが、日本に帰る直前、人質の解放が発表された。

  急造したドラマなので、舞台設定が不十分な感じがしたし、婦人たちの感情の揺れを描いたもので、そうなのよねと共感するのは婦人だけだろうと思う。