映画 さびしんぼう (1985)

 大林宣彦監督作品。主演尾美としのり富田靖子尾道三部作のラストであり、なんだか即興で作ったような映画ではあるが後半からはしみじみした感じが出てきて、ここには真実のかけらが落ちているのでは?と思った。

 まあ根っからの映画人だけあって監督憧れの映画のオマージュらしきものがいくつか出てくるし、堂々と人生観を独白調に述べているし、カメオ出演のような遊び心もある。消えゆく尾道の繁栄の映像も映画史にしっかり残したし、大林監督の力技によりちょっとシュールなファンタジー映画ができたのである。

 若い頃の恋心にはいつまで経っても一抹の淋しさがつきまとっていて、ある時それが一枚の写真に霊的化学反応を起こし、このような事件が起こった、という仕掛けが施されている。