岩波文庫 ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀 (2)

《私が書こうとしているのは、ローマ人民がヌミダエ人たちの王ユグルタとの間に起こした戦争である。(略)》

この後は言うほど明快な文章でなかったので、少し要約してみる。

背景として、著者はローマにおける門閥貴族の悪行、第二次ポエニ戦争の戦後処理の問題を挙げている。第二次ポエニ戦争で勲功を為したヌミダエの王マシニッサが死ぬと、息子のミキプサが王権を継ぐ。ミキプサは二人の幼い息子と甥のユグルタを王宮に住まわせていた。 だが成長したユグルタは眉目秀麗であり狩猟の技に優れ人望も熱かったので、ミキプサは彼を密かに殺そうと考えローマ軍の援軍として彼の軍を戦地に向かわせるのだが、かえって名声を高める結果となった。観念したミキプサはユグルタを養子に迎え、息子たちの安泰を懇願し世を去るのである。

これだけのことだが、よっぽど時間があり腰を据えて書いたのか、説明文、付加文が過剰なくらいになっている。その通りに訳出されているので、わりとわかりにくい文章だ。