2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

東洋文庫 鹿洲公案 清朝地方裁判官の記録 (1730年頃)

本書は広東省の潮陽県の知事代理だった藍鼎元が記録した当時の裁判記録であり、ほぼ実際にあった事という。本文を読んで行くとわかるが、藍鼎元は大した人物であり、書かれている内容は小説以上に面白い。 1 県吏員のストライキ 飢饉と税収不足で軍の兵糧が…

失われた時を求めて (106)

プルーストはアルベルチーヌの死についてあらゆる角度から検討し、仮定を元に推論し、各時代の文学的表現を用いて繰り返し述べるのだ。死を悼むこういう章句を見つけた。以下引用文。(吉川一義訳) 《アルベルチーヌは二度と戻ってこない、死んだのだ。わが…

ディスクリート オペアンプ (2)

NFB型イコライザーの実験基板にOP07CPを載せて動作を確認中。OP07CPの等価回路を見るとなかなか凄いものがある。

失われた時を求めて (105)

センチメンタルな回想が続く。以下引用文。(吉川一義訳) 《天気の悪いある日曜日、それでもみなが出かけてしまって人けのない午後、風と雨の音に誘われて昔の私なら「屋根裏の哲学者」を気取りつづけたところだが、そのとき予期せずアルベルチーヌが会いに…

失われた時を求めて (104)

プルーストが次なる手段としてアルベルチーヌへ書いた手紙は、その内容たるや嘘が満載で本音と真逆の事が書かれており、本当に出しちゃうのかと思ってしまうがフランソワーズを呼んで出しに行かせるのである。続いてコントのようなやり取りが登場する。以下…

失われた時を求めて (103)

プルーストはパリにいるロベールを呼び出して援助を仰ぐ。だが色々と問題がある。アルベルチーヌの写真を見せた途端ロベールの顔色が変わった。さらにプルーストはこういうセリフをボンタン夫人に言うようにロベールに依頼する。以下引用文。(吉川一義訳) …

失われた時を求めて (102)

第十二巻に入る。アルベルチーヌがプルーストの顔も見ずに出て行った朝のプルーストの狼狽ぶりを笑って楽しむ所である。以下引用文。(吉川一義訳) 《それでもやはり、今しがた人生から余儀なくされた新たな一大転換のあとで私に課された現実は、物理学の …

ディスクリート オペアンプ (1)

Dualgate MOS FETを終段に用いたSEPPアンプを作る。Serial No.1〜2 イコライザーアンプ用途 Serial No.3〜4 フラットアンプ用途 Serial No.5〜6 今度は少し美しく作る。K2880、J498を用いた。

東洋文庫 楼蘭 流砂に埋もれた王都 (1931)

本書はスウェーデンの探検家スウェン・ヘディンが発掘した資料をもとにアルバート・ヘルマンが一般向けに書いたものである。発見した歴史的瞬間の記述がある。 《1900年の3月28日に、彼の一行はクルック・タグ南嶺の乾燥した谷間にあるアルトミッシュ・ブラ…

失われた時を求めて (101)

(98)でアルベルチーヌに別れを切り出してから、優柔不断にも前言を取り消してしまったプルーストである。その後は彼女をブローニュの森に連れ出したりして機嫌を取りながら、あるうららかな日に本当の別れを告げようと考えたりしているのだ。あれから素直…

2020年プリアンプ (31)

Dualgate Mos FETを使ったディスクリートオペアンプを作り、プリアンプ I に搭載した。 回路図と基板図を示す。 電流値は書いてないが今までとほぼ同じ。K170がイコライザー用、K30Aがフラットアンプ用になる。 いままでで最高スペックのプリアンプになる。 …

失われた時を求めて (100)

アルベルチーヌにドストエフスキーその他の文学論を論じた後この様に述べている。以下引用文。(吉川一義訳) 《というのも、レオニ叔母の財産を相続したときに私はスワンのようにコレクションを持とう、いろんな画や彫刻を買おうと心に決めたにもかかわらず…

失われた時を求めて (99)

音楽のもたらす陶酔についての重要な考察がある。なかなか面白いので抜き書きしてよく吟味する必要がある。以下引用文。(吉川一義訳) 《たとえばこの音楽は、私の知るいかなる書物よりもはるかに真正なものに思われた。ときに私はその原因は、人生において…

失われた時を求めて (98)

ついに別れる別れないの修羅場が訪れる。以下引用文。(吉川一義訳) 《たとえばその夜、帰宅した私が自室にいるアルベルチーヌを呼びに行き、私の部屋へ連れてきて「ぼくがどこへ行ったか当ててごらん、ヴェルデュランさんのところだよ」と言った時である。…

失われた時を求めて (97)

家路に向かう馬車の中での会話である。以下引用文。(吉川一義訳) 《「あの名家の勇士を侮辱する意図など微塵もなく申しますと」とブリショは帰りの馬車の中で私にはっきり言った、「ただただ非凡の一言ですな、なにしろあの悪魔の教理提要を、少々シャトラ…

2020年プリアンプ (30)

プリアンプ II のイコライザー2種を整備した。 銅箔スチコンでフィルター部を補充。 こちらはマイカで作ったもの。 音で動作を確認。 いい音で鳴っている。

東洋文庫 アブドゥッラー物語 あるマレー人の自伝(1849)

イギリスのTV番組に倣って「マラッカ7歳になりました」方式で書く。人は7歳までに作られるという伝の検証である。 アブドゥッラー・ビン・アブドゥル・カディール1797年生まれ、マラッカ在住。曽祖父はイエメン出身という。父の名はシャイフ・アブドゥッル・…

失われた時を求めて (96)

シャルリュス氏の長い無駄話(といってもプルーストの関心を惹いたのは確かだが)が続いたあと、やっと次の場面にさしかかる。以下引用文。(吉川一義訳) 《私たちがしゃべっているあいだに、ヴェルデュラン氏は妻の合図でモレルを連れ出していた。そもそも…

2020年プリアンプ (29)

完全無欠のプリアンプ I はソフトン社の小型22接点抵抗切替え式アッテネータを装備して、ますます音質を向上させている。 イコライザーアンプも新しい回路のものを試して見た。 ゲインの関係からMM型カートリッジ専用になるが、やはりというか常識を超えた…

失われた時を求めて (95)

演奏が終わり得意げな表情のシャリュルス氏だが、奏者に関して不用意な言葉を発したサニエットに激怒したのか、激しい言葉で彼を追い出したのである。そのためにサニエットは外で発作を起こし数週間後に死去するのである。招待客は行列を作ってシャリュルス…

2020年プリアンプ (28)

三つのイコライザーアンプを測定した。参考のため回路図も示す(定数は若干異なる)。 イコライザー I イコライザーII イコライザーIII 実際の音質から考えるとなるほどなと思える特性である。ちょっと不思議なのは無帰還なのに第二次歪み、第三次歪みが少な…

失われた時を求めて (94)

我に返ったプルーストは再び音楽に集中し、その印象を言葉で綴り始める。以下引用文。(吉川一義訳) 《作曲家がそれぞれの響きの色合いを選んでほかの響きの色合いと調和させる。そのときの歓びが感じられたのである。というのもヴァントゥイユは、並外れて…

2020年プリアンプ (27)

第三のイコライザーの対アース抵抗を100K→47Kに変更し、ゲインを下げてオフセットを調整した。DCサーボが効いてこのくらいに落ち着く。 ノイズも気にならなくなりヴォリューム位置もいい感じになった。音の印象は前衛的な第二のイコライザーと較べるとかなり…

失われた時を求めて (93)

今晩の夜会が始まるまでに、プルーストはシャルリュス氏のことや貴族の序列のこと、ドレフュス事件のことに触れて行き、話題が循環する様相を示す。それでもやっと当時の音楽界の最新の話題が出る。以下引用文。(吉川一義訳) 《(略)『シェエラザード』と…

東洋文庫 蒲寿庚の事蹟 (1923)

これは京都帝国大学教授の桑原隲蔵(くわばら じつぞう)氏による研究書である。蒲寿庚(ほじゅこう)とは宋末期に実在した泉州の市舶使でアラビア人であると推定されている。本論は、一 大食人の通商、二 支那居留の大食商賣、三 広州居留の蒲姓、四 蒲寿庚…

2020年プリアンプ (26)

第二のイコライザーは、出力電圧 0.5mVのAudio Technica AT33LTDとの相性が良く、聴いたことがないほどの爽やかで、芯のある音が聴けることがわかった。これでずっと行けそうだ。 第三のイコライザー(金田式改)はゲインが大きすぎて無音時にノイズがわかる…

失われた時を求めて (92)

シャルリュス氏を遠くから見かけたプルーストは、話を拡げて行き同性愛の歴史について述べた後、小噺のような章句を挟んだりする。この小説は忍耐を必要とするプルーストの気ままなおしゃべりなのだ。以下引用文。(吉川一義訳) 《「ほら、あの男はね、中庭…

失われた時を求めて (91)

第11巻に入る。スワンの死から始まってアルベルチーヌの失踪で終わる長い巻である。冒頭からプルーストの毒舌が冴え渡る。少しメモしておこう。ソルボンヌの教授ブリショの眼鏡についての皮肉である。以下引用文。(吉川一義訳) 《(略)装着していた新式の…

失われた時を求めて (90)

囚われの女アルベルチーヌに関する長〜い話の中にこの様な記述が出てくる。以下引用文。(吉川一義訳) 《それはまだ私がアルベルチーヌと面識がなかったころ浜辺で、私とは犬猿の仲であったある婦人、いまの私にはアルベルチーヌと関係をもっていたことがほ…

2020年プリアンプ (26)

金田式(改)イコライザーが完成した。 FET一石無帰還増幅、DCサーボ付き、CR型という特異なイコライザーアンプである。 ほぼ同じ回路で測定した参考データーを示す。 こちらは2番目のイコライザーの回路と特性の参考データである。 試聴中。今でも相当良い…